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HOMEDOTMANの能天気な日々>DOTMANの思い出:その7



DOTMANの思い出:その7

DOTMOBILE1号

DOTMANの明るい高校生活は続く

 
目次
11
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17
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20

11. クレジットテスト

日本語学校の2学期が始まった。愚息は早生まれだから、日本語学校のほとんどのクラスメイトより現地校の学年が一つ下になる。つまり、ほとんどの子は現地校では10年生(高2)になったのだが、愚息は今月高校生になったばかりである。高校になると勉強も難しくなる(と思う)。課外活動も活発になる。高校と日本語学校を両立させるのは実に大変である。

さて、こちらの高校では外国語を2年間取らなくてはならない。正確には、大学へ行くつもりならば取っておかねばならない。つまり、高校で学校を止めちゃう人は外国語は勉強しなくても良いのね。学校によって多少違うのだが、一般的なのは、スペイン語・フランス語・中国語の中から選ぶことになっている。

愚息の学校はメキシコ人と中国人が多い。といっても彼らは2世、3世であるから、母国語は英語である。しかし、スペイン語や中国語がしゃべれる生徒もたくさんいる。その中に混じってスペイン語や中国語を学ぶのはハンディが大きすぎる。という訳で、ほとんどの日本人はフランス語を選択するらしい。南カリフォルニアで暮らすなら、スペイン語が出来ると絶対有利なので、頑張ってスペイン語を選択する子もいる。

ところで、愚息は愚母に似て語学の才能が全くない。語学って結局センスなんだよなぁ。彼は中学の時にスペイン語を取ったのだが(これは高校の単位としては認められない)、クラス全員の成績がAとBだったのに、愚息1人だけがCという結果であった。(教師が実に嫌な顔をしながら私に全員の成績表を見せてくれた。)そんな彼が外国語なんぞ取れる筈がないではないか!って、最初から諦めちゃいけませんけどね。

ところがここに抜け道がある。クレジットテストというヤツである。現地校以外に語学の学校へ通っている子は、その学校で行なわれるクレジットテストというものに合格すれば、それが高校の単位として認められるのである。愚息が通っている日本語学校も、このクレジットテストを行なっている。ただし、それを現地校が認めてくれるかどうかは個人的に交渉するしかないのである。(続く)
愚息は日本語学校に通っているから、交渉次第で日本語を外国語のクレジットにすることができる。そうなれば高校で外国語を取る必要はない。が、このクレジットテスト、学校によっては9月一杯で受付を締め切るところがあるという。
愚息は早速学校に交渉に行った。

まず、誰に交渉すればよいのか調べなければならない。高校にはホームルームというものはない。つまり、担任の先生というのがいない。その代わり、カウンセラーというのがいる。で、カウンセラーに認めてもらい、申込書を貰わなければならない。カウンセラーはたくさんいる。が、誰が自分のカウンセラーなのかわからない。で、愚息は事務室に自分のカウンセラーが誰かを聞きに行った。返事は「わからない。」・・・これが公立高校の現実である。何のためにカウンセラーに会いたいのか、と聞かれたから「クレジットテストについて話したい。」と言ったら、「そんなのはこの高校ではやってない。日本語学校で手続きをしてもらいなさい。」とちんぷんかんぷんな答えが帰ってきたと言う。

という訳で、昨日日本語学校へ行ってクレジットテストの申し込み方というものを尋ねて来た。流石に日本語学校では「そんなもの知らない。」なんて答えは返ってきませんな。実に丁寧に説明してもらった。説明によると・・・

現地校の先生の中には、そういうものの存在すら知らない人がいる。自分の高校でそういうことを行なっているということを知らず、「この高校はそういうものは認めてない。」と言い張る先生もいる。申込書を置いていない高校もある。学区のオフィスに行って自分で貰って来いというところもある。一旦申込書にサインして置いて、テストの後で「認めない。」「知らない。」という先生もいる。従って、「クレジットテストを受けて外国語の単位として認めてもらうかどうかは、生徒の交渉能力と根気次第なんですね。頑張って下さい!」と励まされてしまった。

愚息と同じ高校へ通っていた日系人で、1週間毎日事務室に通いつづけやっと認めてもらったという子もいる。面倒な交渉は諦めて2年間外国語の勉強をするか、1、2週間で済むなら、と根性で交渉し続けるか・・・愚息次第である。

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12. アメリカの高校

愚息の高校生活第2週が始まった。何故かアメリカの学校は勉強が楽だというイメージが頭から離れない。中学で散々宿題に悩まされたにもかかわらず、どこかで「私立だから・・・きっと公立だったらこんなに宿題は出ないに違いない」と思っていたのだろう。もちろん、甘かった!一体誰がアメリカの学校は勉強が簡単だなんて考えを私の頭に植え付けたんだ?!

愚息は小学校・中学校とクリスチャン・スクールに通った。公立の学校に通っている友人の子供達の教科書を見せてもらったところ、学校で習う内容は公立も愚息が通っていた学校も同じだった。同じテキストを使っている科目も多かった。もちろん、難しいことを教えている私立もある。が、愚息が行ったのは所謂受験校ではなかったので、勉強は余り重視していなかった(だから選んだのだが)。だからわかっていたはずなのだ、高校は公立だからって勉強が楽になる訳がない、ということは。

アメリカの高校は、大学のように単位制である。1科目1年間のが10ユニット、半年のが5ユニット。卒業するには英語40ユニット(4年)数学30ユニット(3年)理科20ユニット(2年)社会30ユニット(3年)体育30ユニット(3年)外国語・音楽・演劇・美術からの選択10ユニット(1年)職業訓練または大学準備クラスから20ユニット(2年)の必須科目に加え、様々な選択科目から40ユニット。合計220ユニット取り、州が定めた高校卒業試験に合格しなければならない。

1年生は取りあえず必須科目を取らなければならないので、愚息の時間割は必須科目5科目に選択1科目の6時間。全く面白味のない時間割である。学校は1時間目の8時に始まり6時間目が終わるのが3時。ただし、0時間目というのが7時から始まり、1年生でも頑張って0時間目から取っている生徒も多い。(もちろんそういうが出来るということは愚息の頭には全く入っていない・・・良いけどね、それで)

ちなみに彼の時間割は・・・1.世界史、2.生物学、3.幾何学、4.Introduction to Technology Education(唯一選択科目。色んな機械の使い方を教えてくれるそうな)5.英語、6.体育である。

フットボールをやる子は6時間目の体育の時間、2時半からフットボールの練習が始まる。で、終わるのは5時半。もう思いっきり疲れて帰ってくるのである。体操服は絞れば汗がぽたぽたと落ちるほど濡れている。顔を真っ赤にして重い(これがまた本当に重いんだ)引きずるようにして歩いてくる。しかし、家に帰ると苛酷な宿題が待っているのである。愚息よ、これが高校生活なのだよ!

さて、愚息の場合、朝6時15分に起きて7時頃家を出る。で、5時半にフットボールの練習が終わり、家に帰ってくるのが6時頃。夕食を食べてシャワーを浴びて(たまには1時間ほど昼寝をして)8時頃から宿題を始める。宿題は・・・毎日ある。主要4科目全部毎日宿題が出る。例えば・・・英語の教科書は学校に持っていく必要がない。家に置いてある。次の日の授業で習うレッスンは家で読んで理解していく。で、学校でそれについてディスカッションを行なうのだそうだ。教科書を学校に持っていかなくても良いのではなく、持って行ってはいけないのである。教科書に書いてあることは家で理解して来い。質問があれば受け付ける。授業では他のことをやる!という態度なのである。これは世界史も同じ。加えて、英語と世界史はエッセイの宿題が出る。生物学は、これまた学校では実験ばかりで教科書は自分で読め!と宿題になる。幾何学は・・・これも毎日1レッスンづつ家でやってくることになっている。こんなことしてたら宿題が終わるのは夜中近くになってしまう。中学の頃より宿題が増えた。ちょっと考えれ当たり前なのだが、高校になるとなんとな~く楽になるような気がしていたから寝耳に水である。

アメリカの高校生活というものは、もっとのんびりとして楽しいものだと思っていた。なんだか「受験地獄」と叫ばれた私の高校時代の方がもっとのんびりとしていたような気がする(って個人的にのんびりしてただけかな?)。愚息のスケジュールを見ていると、他の子もこんなに大変な思いをしているのかしら?と思う。が、フットボール仲間には0時間目(7時から)のクラスを取っている子もいるのである。彼は愚息より過激なスケジュールをこなしているのであろう。

愚息が通っているのは公立高校である。義務教育の公立高校、誰でも入れる公立高校、アメリカで一番レベルが低いカリフォルニア州の中でも最もレベルが低いロスアンジェルス・カウンティにある公立高校なのである。アメリカの高校って・・・結構厳しいですぜ!

高校の選択科目について。これが結構楽しそうなのが色々ある。コンピュータはもちろんのこと、製図やCAD、車の運転(彼らは高校で運転を学ぶ、そして免許を取る、そして・・・高校に自家用車で通っている子もたくさんいる)やメインテナンス(アメリカ人ってだからみんな車のメインテナンス自分でできるのね)、コーラスやバンド(ジャズバンドもあります)、ジャーナリズム、電化製品の修理(おっ、これ私も習いたい)、心理学、コスメトロジー(これも取りたいなぁ・・・と化粧が下手な私)、etc.もちろん、こういうのが取れるのは、必須科目をほとんど取ってしまった生徒だけである。

卒業単位を取り終わった子は、高校で大学の一般教養と単位を取ることもできる。高校でやるのでなく、近くの大学に授業を受けに行く。何故そんなに急いで単位を取りたいのか?高校からそんなに頑張って大学の勉強をすることもあるまいに、と以前から不思議に思っていたので、高校時代にかなり大学の単位を取っていた愚息の従妹に聞いてみた。(とても愚息と血の繋がりがあるとは思えない出来の良い子である。)

彼女の返答:高校は義務教育であるから、公立高校に行っていれば授業料を払う必要がない。教科書も無料で貸してもらえる。が、大学は例え州立で授業料が安いといっても1単位いくらで授業料を払わなければならない。教科書は自費で購入しなければならない。(アメリカの教科書って滅茶苦茶高い!)卒業するのに必要な単位はどこの大学でも一定であるから、高校で無料の時に出来るだけたくさんとっておくと大学に行った時に安く卒業できる。

素晴らしい!

流石は自力で大学に行くアメリカ人である。同じように、州立大学は授業料が高いので(私立に比べりゃ安いけど)、コミュニティ・カレッジ(短期大学、授業料無料、教科書は自分で買う)に2年間行って、その後州立大学に移る子もたくさんいる。州立大学に移るためには、コミュニティ・カレッジで良い成績を修めなければならない。最初から州立に入った方が勉強に関していえば楽である。が、経済的に見れば、比べ様もないほどの差がある。アメリカの高校生は色々と考えているのである。

が、そうかと思えば、最初の3年間で卒業単位を全て取ってしまい卒業資格試験も受けてしまい(2年生から受験できる)、最後の1年はほとんど学校に行かずに遊びまくっている子もいる。アルバイトしてせっせと稼いでいる子もいる。色々な子がいるんですな。

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13. 愚息の1日

昨日の愚息の一日。

6:15am-起床
7:00am-高校へ行くために家を出る。(が、運転して連れて行くのは愚母である。)
3:15pm-フットボールの試合(毎週木曜日がフレッシュマンの試合)
6:00pm-試合後、学校の近くのラーメン屋さんで夕食をかきこみ、剣道の道場へ向う。
6:45pm-剣道の道場へ到着。道場にある小さな部屋にて宿題開始。(宿題が終わるまで練習禁止!)
8:30pm-宿題無事(?)終了。着替えて剣道の練習へ。
11:00pm-剣道の練習終了。
11:45pm-帰宅。シャワーを浴びて・・・
12:30pm-着床

彼にはゲームをする時間もテレビを見る時間もない。しかし自分で決めたことなのだ、最後まできっちりやってもらおうじゃないか!
と思いつつ、明日のテストは大丈夫なのだろうか・・・と心配になるような愚母だから愚息から甘く見られるのである。

しかしなぁ、運転手として付き合わされる愚母はたまらんぞ!
愚母は愚息が起きる1時間前に起きて、朝飯と弁当を作らなければならないのだ。

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14. 犯罪候補生

ついにやってしまった・・・

高校が始まってから2週間、フットボールのチームに何故か愚息に付きまとってからかい続ける子がいたそうだ。愚息はかなり頭に来ていたらしいのだが、小学校中学校で学んだ通り「嫌なことを言う子がいたら『止めてくれ』と頼みましょう。それでも止めなかったらその場を立ち去りましょう。」というアドバイスを素直に実行しておったそうだ。小さい頃は身体がデカかったせいで、私が厳しく「喧嘩禁止」を言い渡していたこともある。彼は彼なりにぐっと我慢していたらしいのだが、ついに・・・切れた!

しかもフットボールのゲームの最中にである。ま、ゲーム中であるからパットで完全装備しているから思いっきりやってもたいしたことはあるまい、という気持ちはあったらしいのだが・・・殴りかかってしまったらしいのである。即、ゲームから外された。相手の子はと言えば、全く反撃に出ず、防御一方だったからお咎め無し。ま、仕方あるまい。「手を出した方が問答無用で一方的に悪い」という鉄則がアメリカ社会にある。しかも愚息が一方的に殴りつけたのである。

先生のいるところで喧嘩するなよなぁ、というのが私の率直な感想である。が、ダンナは違った。現場を目撃したということもあるのだろうが、彼は怒りまくったのである。「こんなことじゃ、近い将来誰かを殺すか、誰かに殺されるかだ!」「あいつの将来は刑務所だ!」と怒りまくって・・・私に電話をしてきて私を怒鳴ったのである。・・・おいおい、そういうことは本人に言え!

でもね、そんなに怒りまくることを愚息はやったのであろうか?確かにアメリカの学校は喧嘩に対しては日本の学校より厳しい。少なくとも私が学生だった頃の古き良き日本・・・喧嘩をしていたら先生が「危ないから外でやって来い!」と怒鳴っていた時代の日本より厳しい。暴力は絶対許されない。何故なら、暴力、即、殺人につながるからである。何しろナイフや銃などの武器を持ってる高校生が多いからね。実際に殺人は起こっているのだし。教師にして見れば、喧嘩を見ただけでそれがどれほど深刻なものかは判断できない。だから大事を取ってやたら厳しくしているのである。それはもう、親としてはとても有難い。でも、だからといって良い子の「すぐにムカツクお年頃」の高校生達が喧嘩をすることは絶対ないのだろうか?高校生にもなるともう皆自分をコントロールする術を身に付けているのであろうか?

高校生の喧嘩と殺人の間には高い壁がある、と私は思う。しかし私のような愚母が将来「家の子に限って・・・」などという羽目になるのかもしれない、という一抹の不安がないでもない。

この暴力事件(?)の後、ダンナはすぐにでも学校のカウンセラーに相談するか、あるいは心理学者のカウンセラーに診てもらうかしなければいけない、と息巻いている。が、私が「どうぞ、やったら」という消極的な態度しか取らないので(どうしてもそれ程深刻な問題とは思えないのだ・・・ちなみに、相手はかすり傷一つ負っていない)きっとその内うやむやになってしまうだろう。ダンナは文句は言うけど自分では愚息のために決して動かないのである。「~しなければならない」というのは「お前が~しろ!」という意味なのである。

そりゃ、私だって学校から呼び出されたり、フットボールや学校からキックアウトされたりしたら、なんらかの行動は取る。が、昨日の事件がどれほど深刻なものであったかはまだわからないのだ。

ダンナが愚息に「コーチが話があると言っていたから、明日会って来い」と言っていたので、その様子を聞いてからでも遅くはあるまい、と思っていた。そもそもね、ダンナが知らないだけで、殺人にまで発展しない喧嘩は学校でしょっちゅうあっているのだよ。一昨日もフットボール部員が練習後「決闘」をやったそうである。愚息はもちろん見に行ったが、中々始まらないので帰って来たと言っていた。翌日聞いたところ、判定で勝ち負けが決まったらしいが、本格的に殴り合いになる前に大人に止められたそうである。それ程悪い子達ではないのだ。

愚息や愚息の友人によると、喧嘩に強い弱いというのはそれ程問題ではないらしい。売られた喧嘩を受けて立つ度胸があるかどうかが問われるというのである。う~ん、青春してるなぁ。「じゃ、君はもう大丈夫でしょう?」と聞くと、「うん」と素直に答えていた。

さて、以下は愚息から聞いたコーチとの会話である。

愚息「僕に話があるって父が言ってたので来ました。」
コーチ「おお、昨日のことだ。」
愚息「はい」
コーチ「お前、フットボールを止めるべきだと思うか?」
愚息「いいえ。」
コーチ「そうか、じゃ、もうあんなことやるなよ。今度やったら退部だぞ」
愚息「は~い!」

面接時間30秒以下・・・そんなもんだろうと思ってたよ。

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15. ニックネーム

フットボールの資金集めの朝食会が近くのレストランであった。土曜日は日本語学校があるのだが、やはりこういうイベントには参加した方が良いだろうと思って、愚息とダンナの両親を連れて行った。(ダンナは外食ができないのでお留守番)

レストランに入ると“Fuji! What’s up!”というお声があちこちからかかる。(おっ、お前、止めさせられたんじゃないの?という声も結構かかったりしたけど)日系人が極々少数派の愚息の学校では日本名が珍しいのか、皆が彼のニックネームを発音したがるそうなのである。その度に、義父が反応してしまう。何故か?義父のニックネームも「Fuji」だからである。ちなみにダンナもダンナの弟妹も全員「Fuji」である。その上、私の呼び名も「Fuji」である。つまり、我が家は全員「Fuji」なのだ。って、しかたねぇよ、全員同じ苗字だもん。

話はちょっとずれるけど・・・Fujiという言葉とFu○kという言葉は語呂が合うらしく、愚息は“Fu○king Fuji”というありがた~い形容詞付きで呼ばれることが多いらしい。これが彼をいらだたせる原因の一つなのだ。相手は全く悪気がなく軽~い気持ちで言っているらしいし、彼も頭ではそうわかっているのだが、彼にとって“Fu○k”は禁断の言葉なのである。私が絶対に使うのを許さない言葉の一つなので(ぽろっと言ってしまうと口を叩かれる)、彼は14年間使ってはいけないと信じて来たのである。それを連発されると・・・これはもうカルチャー・ショックであろう。実際、フットボール部の連中の言葉の悪いことには私も呆れて物が言えないを通り越して、近寄るのが恐いくらいだ。練習を終えて駐車場に来る子達の会話を車の中で聞くと、私はあわてて窓を閉めてロックまでしてしまう。

愚息は決してきちんと話すタイプではない。スラングだってちゃんと使う。小中校では彼は最も口が悪い子の一人だったのである。が、そこはほれ、厳しいクリスチャンスクールでのこと。公立の子は口が悪いということは決してないが、中には口が悪い子だっている。しかも、どうもそういう子がフットボール部に集っているようなのだ。ま、仕方ないよね、過激なスポーツだもん。愚息もおいおい慣れていくしかあるまい。(もちろん、いくら慣れても私は絶対そういう言葉を使うのは許さん!)

で、話を戻して・・・愚息のニックネームのFujiは、日本語で書くと「富士」である。富士山の富士。そもそも身体がデカかったから付いたニックネームでもあるのだ。でもなぁ、あのスラーッとした美しい富士山の姿・・・「お前ら、富士山見たことねぇだろう!」と言ってやりたい。そして、私のニックネームであるFujiは「藤」である。発音は同じでも、愚息と私とでは意味が全然違うのだ!

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16. Back to School Night

愚息の高校の”Back to School Night”だった。ま、説明会みたいなものである。高校になると、一々親宛てにお便りなんぞは来ないから、学校の行事は愚息から聞くしか知る方法がない。(いや、あるんだろうけど、私は知らない・・・子供が大きくなるにつれ、子育てに対する情熱が色あせてくるのである。)で、昨日愚息から「母さん、明日学校へ行かなくっちゃいけないんだってよ。」と言われた。そういうことは前もって言えよなぁ。

愚母「何があるの?」
愚息「ようわからんが、Back to School Nightとか言ってた。」
愚母「何時から?」
愚息「Nightっていうくらいだから夜だよな。」
愚母「だから何時?」
愚息「知らん。」
愚母「明日絶対聞いてこいよ」
愚息「うん、頑張る。」
一体何を頑張るんじゃ!

という訳で当日の今日、愚息によると、7時半から始まるけど、ぎりぎりに行ったら駐車場が混むから7時15分くらいに行った方が良い、とのことである。さて、何故かここ数日間で父親業に目覚めつつあるダンナが、僕も行く、と言う。「あんたが行くならわたしゃいかんでも良いな」と思うのであるが、彼は私が行かなければ一人で行くようなヤツではない。あくまでも「一緒に」行くのである。ところで、ダンナは時間に滅茶苦茶ルースである。彼が人工透析を始める前は、愚息の剣道の試合には一緒に行っていた。(親子3人で行くほどのもんかい?!)通常、剣道の試合は午前8時に受付が始まる。が、ダンナが一緒だと8時半前に着いたことがない。ダンナが行かなくなってからは遅刻したことは一度もない。親戚が集るパーティなんかは1、2時間の遅刻はざらである。だから、ダンナが行くと言ったときも嫌な予感がしたのだ。

7時15分に着くためには、7時前には家を出なくてはならない。が、万一のことを考えて、ダンナには6時半に家を出たいと言っておいた。透析を終えた彼は、テレビの前でぼけ~っと過ごし、私が家を出ると言った6時半を過ぎてから、おもむろに出かける準備を始めた。しかも彼は用意に時間がかかる。私なんて、起きて15分もあればパン食って珈琲飲んで化粧をして出かけられるのだが、彼は朝の準備に1時間はかかるのである。・・・案の定、学校へ着いたら7時40分だった。しかも、始まる時間は7時半ではなく、7時だったのである。やれやれ、全くこの父子ときたら・・・

7時から体育館で学校全体についての説明があり、7時半からは各教室を回ってそれぞれの先生の話を聞くことになっていた。教室巡りがもうすでに始まっている。各教師が話す時間は1科目につき10分、その後5分間で次の教室へ移動しなければならない。大きな学校だから、教室移動に時間がかかる。しかも、どこにどの教室があるのか全然わからない。が、1時間目は愚息が一番好きな世界史の時間である。ここは一つ時間に遅れてでも先生に挨拶をしておいた方が良かろう。

焦って世界史の教室に向う私にダンナが話し掛ける。

愚父「1時間目は何の授業?」
愚母「世界史」
愚父「教室は?」
愚母「E3」
愚父「それ、どこ?」
愚母「こっち!」
愚父「行ったことあるの?」
愚母「ない!」
愚父「どうして知ってるの?」
愚母「地図を見ろ、地図を!」
愚父「地図、どこにあるの?」
愚母「自分で手に持っとるじゃないか!」

突然、父親に目覚めたダンナは、そもそもBack to School Nightが何であるかすら知らないのである。高校は初めてとは言え、私は過去9回も愚息のBack to School Nightに行ったことがるのだ!黙って後ろからついて来い!

さて、世界史の教室に辿りついた所で、終了のベルが鳴った。ま、仕方ないか。先生に挨拶だけして、次へ行こう!・・・おいこら!挨拶だけじゃ!長話をするでない!去年卒業した愚息の従妹の話なんぞしている場合じゃないぞ!ほら、次、行くぞ!

生物学の教室では、先生と予防注射の話を始めるし、時々立ち止まっては「懐かしいなぁ」と感傷に耽るし、トレイニング・ルームでは自分の高校時代の先生と再会して盛り上がるし(愚息が通っているのはダンナの出身校なのである。)、おかげで全てのクラスを遅刻してしまった。

Back to School Nightに行くにはそれなりの準備が必要である。たいした準備ではない。子供の時間割と教室番号、教師の名前だけ調べて行けば良い。そんな簡単なことすらやらずに、良くもまぁのこのこと来れたもんだ。そもそも、学校における親の義務というのをダンナは全く把握していないのである。

もう2度とダンナと一緒には行かんぞ!

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17. 犯罪候補生:その後

まだ『その後』というには早すぎるのだが、そこには「一日も早く『その後』になって欲しいという愚母の思いが込められているのである。

毎週木曜日午後3時15分からフットボールの試合が行なわれる。(あのぉ・・・アメフトって書いたほうが分り易い?)まだプレシーズンの練習試合である。愚息の学校が所属しているリーグ以外の学校と対戦する。リーグ戦は10月17日から始まる。愚息のチームは始めての試合で圧勝。が2回目の試合は負けだった。2回目・・・愚息がキックアウトされた試合である。

愚母「ふ~ん、負けたんだ。」
愚息「うん」
愚母「どうして負けたの?」
愚息「僕が出なかったからじゃない?」
そ、そ、そんなことは絶対ないと思う!

で、今日の試合・・・圧負(という言葉なんてあったっけ?)
愚母「あれ?今日もまだ試合出してもらえなかったの?」
愚息「ううん、出たよ。」
愚母「ちょっとだけ?」
愚息「ううん、ちゃんと出た。」
やっぱり試合の勝ち負けに、君は関係ないじゃないか!

ところで、愚息にとって最近フットボールの居心地は良くなったそうである。理由はもちろん、一回切れてしまったからだ。だからと言って愚息に絡んでくる子がいなくなったわけではない。彼らにとって、罵り合いは挨拶なのである。特に愚息が虐められていたわけではない。1年生だからほとんどが初めて会った子達である。多分、片っ端から絡んでいくことによって相手の性格、付き合いやすさ等を判断しているのだと思う。それに・・・彼らはものすご~く口が悪いのだ。が、基本的には気のいい連中ではあるらしい。

今では、余りしつこく愚息に絡んでくる子がいると、周りの子が止めに入るらしい。曰く「おい、いいかげんにしとけよ。Fujiはすぐ切れるぞ!」う~ん、こんなことで良いのだろうか?が、一人だけ違う子がいるそうである。彼は愚息に絡んでくる子に対してではないく、愚息に言葉をかける。曰く「Fuji、抑えろ!今度切れたら退部だぞ!」同級生だよな。高一だよな。14歳だよな・・・しっかりした子がいるんだなぁ。フットボールやる子ってみ~んなアホだと思ってた。

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18. 運動会

愚息の日本語学校の運動会だった。

愚息の通っている日本語学校は、何かと親が手伝いをしなければならない。役員をしていない(私のような)親は、子供一人につき年1回「図書当番」というのをやる。一日図書室にいて子供たちが本の貸し借りをするのを手伝ってあげるのだ。それから年2回、「安全当番」というのがある。これは・・・学校をパトロールして回るのである。トランシーバーを持って回り、怪しい人を見かけたらすぐに警備員に知らせる。危ないことをして遊んでいる子供たちを見かけたら注意する。というのが主な仕事ではなく、実際は子供たちが建物や木などを壊さないように見張っている、という気がするのは私だけだろうか?

で、図書当番と安全当番の他にも、様々なイヴェントのお手伝いを一つ選ばなければならない。9年前、愚息が小学校に入学してすぐ、先輩お母さんに「運動会の手伝いにしなさい、あれが一番楽だから。」と言われ、その後毎年運動会のお手伝いをボランティアしてきた。そのお手伝いも今年が最後である。嬉しいような、寂しいような・・・

さて、今年のお手伝いはゴザ敷きとお弁当の引渡しだった。ゴザ敷き・・・ゴザですよ、ゴザ!子供達が座る場所にゴザを敷くのである。私が小中学生だった頃、運動会の時は地べたに直接『体育の座り方』をしていた。なんとまぁ、お上品(?)な生徒達でございますこと!しかし、靴は脱がずにゴザに座り込むのだろうなぁ。余り意味がない気がするのだが・・・

で、お弁当の引渡し。年に一度の運動会には、重箱(っつのは言葉のアヤですが)にお弁当を詰めて家族揃って見物に来る人もいる。が、事前に注文しておけば、お弁当屋さんがお弁当を配達してくれたりもするのである。過去、運動会にお弁当の注文を受けるかどうか、が議論を呼んだことがある。数年前、学校側から「運動会は家族揃って参加する行事です。お昼に家族と一緒に手作りのお弁当を食べるのを子供達はとても楽しみにしています。必ず手作りのお弁当を持ってきて、子供達と一緒に食べてください。」というお達しがあった。

私なんぞは単純に「ふ~ん、そんなものか」と思っておにぎりを作って持っていったのだが・・・これには父兄から物凄い反論があった。曰く、「土曜日には仕事があるから子供の運動会は見に行けない。行楽弁当なんか作っている時間もない。そういう子は日本語学校に行かせるな!という意味か!それは差別ではないのか?学校側にお弁当の内容まで口出しする権利があるのか?!」いやぁ、中々すざましい親もいるもんですな。で、お弁当の注文を受けることになったのである。

運動会の準備体操はあの『ラジオ体操』である。(日本でも未だにそうなのかな?)愚息が小学校に入学してから昨年まで、全校生徒の前で台の上に立って模範体操をするのは中3の役目だった。ところが、理由はわからないが今年は中3は前でラジオ体操をしないことになったらしい。愚息は一度あれをやってみたかったそうである。中3になれば自分がやるもんだと勝手に決めていた。が、学校側が決めたことは仕方ない、と思わないのが愚息の愚息たるところである。先生に交渉に行ったのだ。「僕はずっと台の上でラジオ体操をやりたかった。8年間まったのに今年になって中3はやらないなんて困る。僕にやらせてくれ!」・・・交渉成立。彼の望みはかなったのである。

あんなもん、何故やりたいのだろう?ま、彼は確かに目だちたがり屋ではあるのだが・・・と思っていると、「母さん、ラジオ体操をアレンジしてみたから、ちょっと見てみて」とやって来た。ナント彼は自分でアレンジしたラジオ体操-言うまでもなくふざけたヤツである-を全校生徒の前でやろうと企んでいたのである。しかし、あまりふざけたことをやると途中で台から引き摺り下ろされる可能性もあるであろう。という訳で、さりげなく随所にオリジナルにはないポーズを入れるというのはどうだろう?と愚息と一緒にあ~でもないこ~でもない、と色々考えてみた。こういうつまらないことに何故か熱心になってしまう愚親子なのである。

もちろん最後に「母さんはそういうふざけたことは絶対許しませんからね。ちゃんと真面目にやりなさい!」と付け加えることは忘れなかった。愚息は「うん、わかった」とニヤリと笑った。

結果は、中々好評。ただ、本人はホークホーガンのポーズをと思ってやったポーズが何故かウルトラマン・ポーズとして受けていた。ま、仕方あるまい。子供達にだけでなく、一部の母親にも受けていた。しかも、先生からのお咎めは無し・・・めでたしめでたし。
(これ、まさか先生、読んでらっしゃらないでしょうな?)

ところで、私が中学生だった頃、運動会の花形と言えば、騎馬戦と棒倒しであった。男子生徒が上半身裸でぶつかり合う。今考えてみれば、ひょろりとした子達だったんだろうけど、当時はやたら格好良く見えたものだ。騎馬戦の大将の鉢巻だけは腰に届くほど長く、大将は花形中の花形、という感じだった。

今の子の騎馬戦って、帽子取りなんですよね。つまんな~い!やってる本人達も今一盛り上がりに欠けるようである。が、先生曰く「今の子供達って、すぐ骨を折っちゃうんです。だから本物の騎馬戦は危なくって。」ふ~ん、そうだったんだ。

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19. 盗難事件 

愚息がフットボールの練習用のジャージ(ごっついパットの上に着るシャツ)と下に着るTシャツを盗まれたそうだ。盗まれたというより、おそらく誰かが間違ってもって帰ったのだと思う。が、名前が書いてあるのに返さないということは盗んだと同じであろう。

Tシャツは兎も角、ジャージがないと練習に参加できない。2日間ランニングだけをやらさせていた彼は、コーチの所へ何とかしてくれ!と嘆願に行った。っうか、新しいのを買おうと彼は思っていたのである。

愚息「コーチ、ジャージが盗まれた。どうしよう?」
コーチ「誰に盗まれたんだ?」
愚息「それがわかってたら取り戻す!」
コーチ「仕方ないなぁ・・・自分より小さなヤツを殴って、そいつから取り上げて来い!」

おいおい、それがコーチの言うことか!
そこで愚息は、「わかりました!」と言って「おい、ジョージ(愚息より小さい子、仮名)、ちょっとこっち来い!」と叫びながらコーチの部屋を出たのであった。
そんな愚息の姿を見て、コーチは笑っていたと言う。

もちろん、愚息は本当にジョージ君に呼びかけたわけではない。ジョージ君はその場にいなかったそうである。愚息曰く「自分より小さい子からジャージ奪ったって入らないじゃないか!」

しかし今日、何故か愚息はジャージを持って帰って来たのである。しかも肩のところが破けてる・・・おいおい、盗むんだったら破けてないやつを盗んで来い!

ところで、Tシャツの方は間違って持って帰っていた子がちゃんと(洗わずに)返してくれたそうだ。教訓:自分の物にはちゃんと名前を書いておきましょう!(ってジャージにも名前書いてあるぞ!)

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20. フットボール・リーグ戦終了 

フットボールのリーグ戦が終わった・・・やれやれ。

愚息達フレッシュマンはリーグ1位。当然の如く(でもなかったな、結構苦戦していた)リーグ1位になったヴァーシティの連中は州大会へ進む。所謂プレイオフっつうやつだと思う。(よくわからんが)

が、フレッシュマン君たちはこれでお終いである。良かった良かった。木曜日に試合があるというのは結構大変なのである。Away Gameだったりしたら学校へ帰って来るのが6時半頃になってしまう。それから宿題をやって剣道へ行くと8時半になってしまう。で、剣道から帰って来て残りの宿題をやっていると・・・何時になってるんだろうなぁ?先に寝る愚母にはわかりません。

愚母「来年はヴァーシティ入ってね。」
愚息「何で?」
愚母「だって、ヴァーシティの試合、金曜日でしょう?金曜日なら遅くなっても構わないじゃない。」
愚息「母さん、僕が来年ヴァーシティに入れるって本気で思ってる?」
愚母「・・・思ってない。ちょっと言ってみたかっただけ。」
愚息「なら良い。」

さて、フットボール、終わったよぉ、と友人に言うと、皆口を揃えて誉めてくれる。「偉いねぇ」「頑張ったねぇ」もちろん愚息が活躍したわけでは決してない。何が偉いのか?最後まで止めなかったというのが偉いそうなのである。そう言えば、フレッシュマン・チーム、9月には60人以上いたのが、最後には30人弱に減ったそうである。

さぁ、これからは気合を入れて勉強の方を頑張ってもらいたいものである。今の内に追いついとかないと・・・中間レポートの成績が散々だったのだ。先生からお手紙まで貰ったのである。

と思っていたら、これからフットボールのウエイト・トレーニングとコンディショニングとやらが始まるという・・・やれやれ。

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『DOTMANの思い出:その8』に続く。